玉を返してもらった男は龍神池に行きました。すると池の中から現れた大蛇は「あなたのことはすべてその目で見ていました。」というのです。男は右の目の玉を返すと「一緒に暮らしたい。」と言いました。しかし、大蛇は「私は人間の世界では生きられません。」と寂しそうにいうと、池の底に沈んでいきました。京に上った息子はすっかり立派な仏師になり、仏様を彫って暮らしていました。しかし、ふるさとに残してきた父のことが気がかりでたまりません。そこで父親と一緒に暮らそうと思い、三池の里に帰って来ました。
しかし、そこにはくずれかけた家があるだけで誰も住んでいません。周りの人に聞くと年老いた父親はいずこともなくいなくなった、ということでした。「もしや」と、思った息子は龍神池に走りました。するとそこに2匹の火を吐く大蛇が現れました。仏師は「もしや、私のお父さんとお母さんでは………、」と訪ねましたが、2匹の大蛇は優しく見つめるだけでなんにも言わず静かに深い池の底に沈んで行きました。

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