創作民話「大蛇山伝説」 作 佐藤和四郎 井上昌男

むかし、三池の里に一人の男が薬草を採って暮らしていました。ある秋の日、山から帰る途中、子どもたちが集まって騒いでいます。「何事だろう」と、近づいてみると一匹の蛇を囲んで棒でつついているのです。蛇の背中は傷だらけ、苦しそうにもがいています。しかしながらその目だけはカッと開き、子どもたちをにらみつけているのでした。子どもたちはその目の鋭さにおびえたように、更に遠巻きにして石を投げ始めました。男は、「そんなことをしてはいけないよ。」「この蛇は龍神様の生まれ変わりかもしれないよ。」「龍神様は三池の里を守る神様だよ。」と、言って止めさせました。子どもたちは、むしろほっとした様子で逃げるようにして家に帰りました。

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