男はその蛇を連れ帰り、家に上げて手当をしました。目をつむり、動くことすらできない蛇でしたが、薬草の効き目が表れたのでしょう、3日目にはずいぶん元気になりました。そしてその夜、男は蛇の目にキラリと光るものを見たような気がしました。翌朝起きてみると蛇の姿はありません。男はきっと元気になって山に帰ったのだろうと喜びました。南国の三池の里でも冬ともなればさすがに厳しいものです。薬草採りから帰った男はさっそく火をたき、部屋を暖めていました。「今日も収穫がなかったなあ、いや、明日があるさ。」こう言って男が床に就こうとすると、家の外に人の気配を感じました。戸を開けてみると、美しい娘が月の光に照らされて立っていました。聞くと、「道に迷って困っています。一晩だけでも泊めてください。」と、いうのです。男は「汚いところでもよかったら………、」と、泊めてやることにし、自分は土間のわらの中に寝ました。

次へ

TOP