さらに、のこぎりの刃のような鋭いひげが口の周りをおおっています。大蛇は部屋いっぱいにうねるように横たわっています。しっぽの先はまるで鋭い槍のようにとがっています。恐ろしい形相の大蛇です。男は驚きましたが、ちっとも怖いとは思いませんでした。むしろ心温まるものを感じました。そして、よく見ると大きく開けた口の真っ赤な舌の上に生まれたばかりの大きな男の子が穏やかな表情でこちらを向いて座っているのでした。大蛇は男に向かって言いました。「私はあのとき助けていただいた蛇です。人間の世界であなたと幸せに暮らせたらと思いましたが、こうなった以上ここにはおられなくなりました。」「私は龍神池に戻らなければなりません。」「私の代わりに私の「左の目の玉」を置いていきます。この子が泣いたときはこの玉を見せてください。」「そしてこの玉は絶対に手放してはいけません。」その言葉とともに大蛇は消えて行きました。

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